はい、お電話ありがとうございます。○○商事△△支店、事務の☆☆がお電話承ります。 Fラン文系出の僕は当然の成り行きで地方ノルマ系弱小外回り営業職である。 貴賤なしの言葉に後押しされて、日々青い息を吐きながら奮闘する時も稀… 続きを読む 接遇
文学的だなぁ
‘独りごちては腐った なんてなかなか出てこないよなぁと思っていたし 全体に流れる詩には澱みなく力強さが伝わってくる 読書家なんだろうな 安吾みたいだなぁ ホリゾントのデザインされた幕中から突然放たれた一条の太い光線がその… 続きを読む 文学的だなぁ
思考②
当時、深夜になると所謂マイナーなスポーツがEテレで放送されていた 東京ではオリンピック競技となったサーフィンやスケートボードにしても当時はマイナー競技として扱われていたように思う。しかし競技人口が少ないだけでTVから伝わ… 続きを読む 思考②
思考①
野球は良いが柔道はよくないしサッカーは良いが空手は駄目である。 同じようにカーリングは好物だがスケート競技は苦手である。 その日、僕は過呼吸になるほど興奮していた。 多くの日本人がそうであったように。 しかし、立ち直れな… 続きを読む 思考①
対極 ②
舞台上のスタンドマイクの前にぽつんと立って聴衆の拍手の音をずっと聞いている。膝が震えだし前屈みになり視線は後方から照らされて作りだした自身の影法師にむいていた。 はたして僕は今、何をしようとしているのかが理解できないでい… 続きを読む 対極 ②
初枝さんのお弁当 最後
あれからお婆ちゃんのお弁当はずっとごはん部門には何らかの工夫されたカヤクを纏っており、おかず部門は数種類のルーティンとなっていた。 それはお腹と見栄えを充分に満たすものであり大変感謝していた。 お魚のすり身を、甘くて少し… 続きを読む 初枝さんのお弁当 最後
初枝さんのお弁当⑥
タイミングを外した理由が必要だった。 おかずの蓋を閉じるちょっとした必然が欲しかった。 しかし、どこをどう探しても見つからないからいつものように思考停止に陥ってふらふらと追い詰められている。 むしろその後を想像しながら薄… 続きを読む 初枝さんのお弁当⑥
初枝さんのお弁当⑤
最後尾である自分の席にあらためて感謝した。 クラスの半分が学食に行った頃に僕は胸の高鳴りを深呼吸して静めながらゆっくりとそれを机の上に置いてみた。意外にもなかなかどうして安定感がある。 というのもその朝、布製で白と紺色の… 続きを読む 初枝さんのお弁当⑤
初枝さんのお弁当④
上陸して勢力を落としたその円形は左カーブを描いて逸れている。 「大丈夫ですね、もう大丈夫でしょう」そう言ってお婆ちゃんを振り返った。 「飛行機は飛ぶのかな?」心配そうな様子をしている彼女はずっと画面をみている。 「息子さ… 続きを読む 初枝さんのお弁当④
初枝さんのお弁当③
渡されたメモにはびっしりと食材が書かれている。 そのすべてがカタカナだったがやはり冷凍食品はなく野菜とお肉と魚だった。 倉庫からおじいちゃんが使っていたという自転車を引き出して来て軽快に飛び乗った。後輪の上には大きな籠が… 続きを読む 初枝さんのお弁当③