雨と小食

暑さは食欲を減退させていてお昼はサラっとソーメンでも茹でるかなと思う。

降り出した雨が鬱陶しくて外出する気も萎んでいる。冷蔵庫には野菜は存在しない為、トッピングはない。

お盆を過ぎるころには体力も落ちてきていわゆる夏バテの状態となり何をやるにも気持ちが続かない。

土用の丑の日?聞いたことはある。

さらには秋になっても状態は回復の兆しさえ見えず、頬も少しこけてきているようだ。

空模様も低気圧が次々と流れるせいで長い雨が続く。

夜間はすぐに目が覚めてしまうために日中はボゥーとして気分は最悪とまでは言わないまでも一向に上向かないのだ。せめて空模様だけでもすっきりとしていればと思う。

という事が僕には全くないのだ。

陽が傾き出す頃には力強くムクムクと立ち昇っていた入道雲が夕立をもたらして辺りに少しだけ涼を誘い出してくれる。何とも気持ちが良い。もっと強く降れとも思う。

梅雨が嫌いな人も多いだろうが僕は一向に何ともないのだ。

わからないでもない。

傘をさす手は物を持てず、服は濡れ、道路は混み、わからないでもない。

外で楽しめず、洗濯物は乾かず、人々は困った顔で走っている。

どうでも良いと思う。

多少濡れても何ともないし行動が制限されたところで天候による気分の変化は僕には訪れない。

「夏は刺激がある辛いカレーが良いよね」とんでもない。年中カレーは美味しい。

ついでに主張させて頂きたい事がある。世の中で多くされるであろう夫婦間の会話の中に割り込みたいことがある。

夫「ただいまー」

妻「お帰りー今日は暑かったでしょー大変だったわねー」

僕(君は良いよね、この暑い1日にずっとクーラーの中に過ごせて。いや君だって家事が大変なことは僕も重々承知しているし感謝ももちろんしているよ)

妻「シャワーしておいでよ」

夫「あーそうだね、今日は何?、子供みたいだけどお腹すいたー」

妻「カレーを作ったのよ、スープカレー。初めてだけど結構美味しく出来たんだぁ」

僕(うっ、スープカレーは嫌いだ。せっかくカレーを作るのならでっかいジャガイモが入った田舎風コッテリカレーにしてほしかったなー)

夫「えっ、昼もカレーだったのに」

ありえない。こ

の夫のセリフはいただけない。

妻に失礼であるということだけではない。

昼に食したカレーが夜に形を変えて再び現われたことに何の不満があるというのだ。

わからない、僕にはわからない。

お昼のカレーは美味しかったはずだ、先ずもって不味いカレーは僕の中では存在しない。

それなのに味変した同種類のメニューのどこに不満があるというのだろう。

飽きるのだろうか、いや飽きない。2食連続くらいで飽きたら大変なことになる。

トンカツだろうがハンバーグだろうが昼食と夕食の被りには何の不満もない。

わからない、僕にはわからない。

更には、深刻な程に病んでしまう人には申し訳ないのだが、食欲減退が四季に左右される事もないし気分に左右されることもない。

失恋をしようが、仕事でしくじって上司に怒られようが、食欲は大きく存在している。

深刻な悩みが頭の中を支配しようが食欲はいつだって旺盛である。

いや、少し違うかもしれない。

僕は食事へのこだわりがないのかもしれない。

すごしやすさにも重きを置いていないのかもしれない。

職場は辛い事だらけで堪らなく嫌だ。

晴天であろうが雨が降ろうが必ず向かわなければならない場所であるのだ。

平穏な日々を重ねている人はそれを邪魔する事に苛立ちを覚えるだろう

元々が平穏でない僕はそれを邪魔だとも迷惑だとも感じないのだ。

その事よりも優先して解決しなければならない事があるのだ。

雨なんてなんてことない、食べるものなんて何でも良い。

残念ながら終わってしまったが食わず嫌い王という番組が好きだった。

その番組に出る事だけの条件で有名人になりたかった。

メニューは5種類きちんと考えてある。

しかし僕には嫌いな食べ物がない。

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