譲治君の事

他人をうらやむ事はあまりない

しかしそれは向上心が欠如している事と同意であるので困ったものでもある

年齢と共に、より盛んになってきたようにも感じる

学力にしてもスポーツにしてもそうだったし仕事にしたってそうだ

容姿にさえ他人を羨むことはない

そんな僕が譲治君に対しては異常なほど羨んでいた

正確に言うと譲治君の性格に嫉妬していた

僕は強い心を持った人に強く惹かれる

彼はAランクの大学を卒業してエンニジアとして年齢に合った出世をしていた

いわゆる生き方に憧れていた

僕はFランクで地元のCランクの会社に一般営業職として務めていた

しかし大学も就職先もどうでも良かった

30才を過ぎたころ彼はある女性とのお付き合いが始まった

彼と僕はその頃に知り合った

「今度いつ行く?ブランディア」

「週末行こうか給料も貰ったし」軽く答えた

「店に入る前に相談したいことがあるんだけど」彼の声は少しだけ真剣だった

全く想像が付かない僕はわかったと言って電話を切った

壮大な計画を聞くことになる

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