赤緑色弱も方向音痴も見た目にはわかりません。
絶対にバレないので普段は平然としていられるのです。
しかし雨の日の夕方に車の運転でもしようものならこの2つの弱点はもろに明らかになります。「青に変わったよ」と促され「なんで遠回りをするの?」と先を急ぐ助手席の彼女の声が少しだけ大きくなるのを過敏に感じてますます萎縮してしまいます。
最近はLED信号に変わりカーナビの出現によってどうにかこうにか何とかかんとか凌いでいるのです。カーナビは多くの人が画期的だと思うでしょうがLEDはどうでしょうか?LED信号に関しては僕達同志ほどの恩恵を受けている人は少ないのではないでしょうか
そんな中、僕にはまだまだ他人に知られたくないことがあります。僕のことを真剣に凝視する人は、そうそういませんが注意深く観察されると発見されるしまう事が2つあります。例えば歌を唄う姿、隣に座った横顔、或いは診察をする歯医者さん等は一目瞭然です。
男性は思春期前後に喉に突起物が現われます。
そう喉ぼとけです。
無いのです、ツルっとしています。
女性のそれと全くかわりません。ペロンペロンなのです。
西洋のコインに描かれている王妃の横顔みたく綺麗なRを描いています。
カラカラの喉を潤すために顔を空に向けて炭酸を飲む時に上下に行って帰りを繰り返すカッコ良い突起物。
さよならホームランを打たれ両膝に手をついてうなだれたピッチャーが涙と共にぽとりぽとりと落とす首からの汗。
男の色香を感じる女性もいるような気がします。
僕の青春の汗は喉ぼとけから落ちないでそのままユニフォームに染み込みます。
足りません脚色不足です。
そう考えると男性には誰にも平等に備わっているはずの下半身の突起物の次の最低限の武器が僕にはないのです。
しかしその大切なチン子が違う所に余計にありました。
神は何を間違ったのでしょうか
一番最初に気がついたのは母でした。
小学校の低学年の頃でした。歯痛を訴えた僕に母は薬を塗ってあげると言い出しました。
当時、歯医者さんが近くに無かった田舎町に住む我が家には虫歯に塗る薬が存在したのです。今ならウォッカでも流し込んで麻痺させるのですが苦さと若干の痺れを伴うその薬は意外にも効果があったように記憶しています。
「えっっー?」笑い出した母。
次第に爆笑している母の膝枕の上でぽかんとしました。
「あんた喉チン子が2つある」正座した彼女は反り返って両方の後ろ手を畳についてお腹を波立たせています。
そうです僕には喉チン子がダブルであるのです。Wをまあるく書いたみたいです。
決して女性が喜ぶことはありません。