あれからお婆ちゃんのお弁当はずっとごはん部門には何らかの工夫されたカヤクを纏っており、おかず部門は数種類のルーティンとなっていた。
それはお腹と見栄えを充分に満たすものであり大変感謝していた。
お魚のすり身を、甘くて少し辛い味付けした揚げ物が一番の好物だった。
その親子が我が下宿屋の同居人となったのは9月が終わろうとしていた土曜のお昼だった。
離婚の原因は知る由もないが息子さんを伴って実家に帰ってきた。
僕と同学年のその彼は意外にも明るくさっぱりした人柄のようだった。
銀行マンと作業着を着た人は転勤が決まったらしく9月中に下宿屋を去っていった。
彼らは初枝さんのお弁当を食べることなくここを去っていった。