カブトムシ⑥

成長と共に昆虫への興味が薄れてくるのは誰しもが経験することであろうが加えて僕は次第に多足種の生物への恐怖が募っていった。

今ではミヤマへの憧れは消え失せているどころか想像すると身震いがするほどだ。

夏が近づくとスプレー、駆除剤、湿気取りは言うまでもなく掛け布団は厚手の物を用意して両足、両肩を必ずくるんで眠るようにしているし机に座っているときも数分に一回は足をバタバタしている。

使用している営業車は停車中に窓をあける事は決して無く、シトラスライムの香りに代わって変な森の香りがする。

そう、会社は多湿で川沿いにあり奴らは絶対に僕を狙っている。

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