フェチ⑦

どうやら僕は胸上部横広長方形フェチらしい

ずっと長い年月そうなのだから確かだろう

だれどそれを女性に強要することもなかったし公共の交通機関でジロジロ眺める事もなく過ごすことができた

誰よりも勝る強い理性を発揮してきた僕はその蓋然性に期待してきた

デカいビデオをケースに入れ足取り重く保育園に向かっていた

その年は残暑が厳しく歩くと薄っすら汗をかいた

既に夫婦ともに来ている保護者も多く見受けられる

年長の我が幼子はこちらをチラッと見たが無表情だった

普段の態度と何ら変わらないので特別落胆することはないが笑顔位くれよと思った。

シューズを長い横板で臨時に作られた靴置きに並べている時に彼女は寄ってきて両手で僕の右手を揺らした、なんにも喋らないが可愛いい、いや喋らない方が可愛さが増した。

聞くと桃太郎のお遊戯をするという

結構な作り物の衣装はきちんとしている

先生が作ったのなら大変だったろうなと感心していた

男性保育士の衣装は更にしっかりしていて紙製と思われるがしっかり桃太郎になっていた

園児全員で歌いながらお遊戯がはじまった

少しだけ恥ずかしかったが僕はきちんと堂々とビデオを撮影したしアップ機能で幼子の表情も捉えることができた

古いと言えども録画中に写真機能もあって数枚のカットが撮れた

もっと長くても大丈夫だと感じていたし充分な録画残量があった。

弾けた笑顔が収まったビデオをケースに戻して、この後特別何もないのならと帰ろうとしていた

「はい、次は金太郎でーす。さくらのお友達の入場でーす。金太郎は綾子先生でーす」

急いでケースに戻したビデオを手に取った

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