7位?
いやいや間違いだろう
そんなはずはない、少なくとも3位以内に入って然るべきだろう
誰であれ間違いなく男だったらイチオシのはずだ
女性票が伸びなかったのだろうか?
でも女性にも憧れの的のはずだしスペックは一番高いぞ
そうか
組織票ってやつか、なるほどね彼女には組織がないのかなあ
いずれにしても納得ができない
こうなったらCDを大量に購入しようか
憤まんやるかたなしという気分で1位になった女性のスピーチを聞いていた
「あれっ?」
その時僕は違和感を感じた、どうにも心地が良い
なにぶんその少女達はコーラスメインであり殆どが口パクなのだから満足に平場の声を聞いたことがなかったのだ
初めてマイクを通した地声を聞いた
涙が混じった細い声色に衝撃を受けた
何とも頼りない細くてガラス細工のような鈴の音が響いている
ジェンダーレスが叫ばれる世の中には女性に近い声を出せる男性もいるが彼女みたいな音にはなかなか出会うことはない
次第に7位の子への興味が薄れていく
その日を境に今までに出会った声を振り返ってみた
いない
全くいない
ある意味において僕は声フェチなのか
いや待て
修学旅行の時のバスガイドさんや野球場のアナウンサーもCSさんも素敵な声色じゃないか
声優がもてはやされボカロ全盛の昨今は特徴ある声はかなりその地位が高いようだ
人は容姿だけではなく声にも反応するものだと改めて気が付いた
女性はいわゆるイケボの男性に恋をするようだけど見た目とか性格よりも優先するだろうか?
そう思ってみると僕はそうでない事を認識した
プラスアルファでしかないのだ
確かに聞いていて心地がいいしそれを追いかけたいとは思うしお付き合いができるとなるとずっと耳が喜ぶのだろう
しかしその他の条件を凌駕するほどだろうか?
いやそうではない
やっぱり握手をするのなら敦子さんより友美さんのほうが良い
何をもって人に好意を寄せていたのかじっくりと思考を巡らせてみる
バラッバラだ
顔も姿も年上も年下も強気も弱気もおとなしいもうるさいも束縛のあり無しから髪の長さに至ってはベリーショートから腰まで長いまでさえある
なにか共通点はないか考えてみる
悲しい事に幼いときに父親を亡くした女性が年上の男性にしか興味を示さないということを聞いたことがある、それこそかなりの年齢差がないと好きになれなくて年下はおろか同世代にさえ彼氏にしたくない女性がいるらしいのだ
少し前にオッパイ星人などといってやたらと胸を重宝する男性が湧いて出て来たが僕は全く胸に興味が湧いてこない
「男性は大きい人が好きなんでしょう」という声が聞こえてきそうだけどそうでもないんだということを世の女性に声高に訴えたいし賛同する男性もかなりの数が存在する事を強調したい
大きな誤解である
ポッチさえあれば充分であるし右の手のひらが浅い平仮名のくの字に曲がるほどで充分だ
自身の身体をお風呂の鏡にみて悲しい顔をする人を僕は励ましたいとさえ思う
僕の心を揺らしたガラスの声は偽物のフェチだった